ごっちゃになったら読むべき! 英文法の話法の解説
話法とは
話法とはだれかが話したことを表現することです。
英語では話法のことをnarrationもしくはdiscourseといいます。
英語の話法には大きく分けて2種類があります。
ひとつはその話し手が話したことをそのまま「 」を使って表現する直接話法。
もうひとつはその話し手が話したことを「 」を使わず自分目線で表現する間接話法です。
彼女は去年「私は来年アメリカに行く」と言っていた。
Last year he said, “I will go to U.S. next year”.
間接話法
彼は去年、彼が翌年(今年)アメリカに行くということを言っていた。
Last year he said that he would go to U.S. the following year.
直接話法と間接話法の基本ルール
直接話法と間接話法の人(一人称・二人称)の違い
直接話法はそのまま話した内容が鍵括弧の中に書かれています。 ”I will go to U.S. next year”の部分のI(わたし)はこの文を書いた筆者ではなく、鍵括弧の内容を話した人であるhe(彼)のことです。
関節話法の場合には直接話法のように会話の内容の人物がだれなのかということをわざわざ考える必要はありません。客観的に見た表現になっているので、話し手がheで会話内容の主語もheであるならばそれは同一人物なのです。
直接話法と間接話法の動詞の時制の違い
直接話法から間接話法に書き換える際に最も難しいのが時制の書き換えです。
この際に注目しなければならないのは会話部分の外側の時制です。
この部分が過去形の場合、会話部分が鍵括弧の外になると時制のずれが発生します。
実際の例を見てみましょう
I said, “I played the guitar”.
間接話法の文
〇 I said that I had played the guitar.
× I said that I played the guitar.
ポイントはもともと過去形だった会話文の中のplayedが過去完了形のhad playedになっているということです。
ここで簡単に過去完了形というものを一言で説明すると、「その文の過去を示す動詞、もしくはその文の過去を示す名詞よりも前にその動作が行われている」ことを示します。
上の文の場合、saidもhad playedも両方今から見ると過去に行われたことではありますが、saidをする前にplayedが行われたことがはっきりしています。
間違い例にあるように、saidもplayedも過去形で表現された場合、said,playedは同時に行われたことになってしまいます。
会話内容の外側の動詞が現在形だった場合には、会話内容の動詞の時制は変化しません。
会話内容の外側の動詞が過去形だった場合には、会話内容の動詞の時制をひとつずらします。
ずれる規則としては
現在形 → 過去形 → 過去完了形
現在完了形 → 過去完了形
助動詞 → 過去の助動詞
という形にひとつ → の先に移ると覚えておけばいいでしょう。
相対的な距離感を書き直す
「ここ」という言葉があります。これは小学生で習った「こそあど言葉」のひとつです。同じように場所を表す言葉には「そこ」「あそこ」「どこ」があります。
「こそあど言葉」のうち「こ」が付いているものは「その状況においてすぐそば」のものを表しています。この場合問題となるのはその状況においてというのが話法を用いるうえで問題になります。
ポイントとなるのは話し手からそのものに対する距離です。
例えば北海道にいた人が北海道のことを良い場所だ、という場合には「ここは良い場所だ」となりますが、その後東京に移動してその感想を述べるのであれば「あそこ(北海道)は良い場所だった」となるわけです。
具体的な例から考えてみましょう。
He said, “I always play soccer here.”
彼は彼がいつもそこでサッカーをしていると言った。
He said that he always played soccer there.
通常の場合、「 」内にあった「ここ」という場所は私が今話している場所とは異なるためhereではなくなります。
唯一そのhereが変わらない状況は「彼が話していた場所と話者である私が今話している場所が同じ場所」という状況だけです。
単純な話法の文法問題の場合そのような条件設定がされていることはないため、基本的にhereはthereに書き換えてしまうと考えても良いでしょう。
場所ではなく人やものに対する相対的な距離感 名詞の前についているものを書き直す
他のこそあど言葉に関しても同様に考えてみると良いでしょう。
He said, “I have seen this dog in this park.”
彼は(彼が)その(/あの)イヌをその(/あの)公園で見たことがあったと言っていた。
He said that he had seen the(/that) dog in the(/that) park.
この場合も今話している話者である私が、「イヌがすぐそばにいる状況なのか(this dog)」、それとも「イヌが離れている場所にいる状況なのか(that dog)」、もしくは「全くそのイヌが視界にいない状況なのか(the dog)」によって状況は異なります。
また公園との位置関係によってもthis parkを書き換える必要があります。状況によって書き換える表現は異なりますが、文法問題として出てきたときには何らかの書き換えを意識する必要があると覚えておきましょう。
this → that
絶対時間と相対時間の書き直し
時間も場所などのこそあど言葉と同じように書き直しが必要になります。
有名な話として、頭が洗うのが非常にきらいな子どもの話があります。
その子は頭を洗うのがきらいなため、お風呂で母親に「明日頭洗うから今日は頭洗わない」と言いました。
母親は子どもがあまりに嫌がるのでそれを承諾しました。
翌日、
「約束通り今日は頭洗おうね」と言った母親に対して子どもは首を横に振ります。
「昨日の明日はもう今日になったから、頭を洗うのは『明日』だよ」
この話のポイントは「明日」がいつであるのか、ということです。
子どもが最初に発言した「明日」は昨日から見た明日、つまり母親が「約束通り今日は頭洗おうね」と言った日のことなのですが、この子の言い分としては「今日」からみた『明日』に頭を洗うと言っています。
子どもの理屈で言うのであれば、「明日」は今日になった瞬間にずれて次の日になってしまうため、1日目のときの2日目、2日目のときの3日目、3日目のときの4日目と常に翌日となってしまい一生頭を洗わなくていい、ということになってしまいます。
これは常に「明日」というものを、「その発言をした時点からの明日」ではなく「現時点からの明日」と考えていることから起こっているのです。
そうしたズレが発生しないよう、時制を表す単語にも注意を払います。
特に気をつけなければならないのは、上の例で出てきたような現在を中心に考える時制の単語です。具体的には以下のようなものがあります。
now today ago tomorrow yesterday
これらの単語は現在を中心に考えています。そのため、全て「現在から見て」という注釈が付いているのです。
そのため現在からではない場合、以下のような単語で相対的な時間として表現します。
today(今日) → that day/the day(あの日/その日)
~ ago(~前) → ~ before(~前)
tomorrow(明日) → the next day または the following day(その次の日)
yesterday(昨日) → the day before または the previous day(その前の日)
会話内の文の種類による間接疑問文の変化
会話の中で使用される、” “内の文は必ずしも肯定文ではありません。
わたしたちが話す会話は「肯定文・否定文・疑問文(決定疑問文・疑問詞疑問文)・命令文・感嘆文」があります。
その文の種類によって会話の内容を表す文の形や文の動詞の形が変化します。
会話文が肯定文だった場合
実際に発言された会話の内容が肯定文の場合には特別に書き換える必要はありません。通常の直接話法から間接話法に書き換える基本ルールだけで書き換えを行います。
She said, “I watched Tom here.“
She said that shehad watched Tom there.
会話文が否定文だった場合
否定文の場合も肯定文と同様に直接話法から間接話法に書き換える基本ルールで書き換えを行います。違いは書き換えられた会話の内容にあたる部分にnotが含まれているだけです。
He said, “I can not speak Japanese well."
He said that he could not speak Japanese well.
会話文が疑問文だった場合
疑問文の場合にはまずその疑問文が決定疑問文(yes/noで答えられる疑問文)か疑問詞疑問文(wh-やhowで尋ねるyes/noで答えられない疑問文)かによって書き換えのルールが異なります。
・決定疑問文の場合
決定疑問文の場合には疑問文になっていた部分の先頭にifをつけて残りの部分を肯定文にします。
She asked me “Will you come to the party?"
Will you come to the party? この部分を肯定文に
you will come to the party これにifを付ける
if you will come to the party それから話法の基本ルールで変換
if I would come to the party
She asked me if I would come to the party.
・疑問詞疑問文の場合
疑問詞疑問文の場合には疑問詞部分をそのままにし、後ろの疑問文の部分を肯定文にします。
I asked her “When will the party start?"
When will the party start? この部分を肯定文に
when the party will start 決定疑問文とは違い特に何かを加えず話法の基本ルールで変換
when the party would start
I asked her when the party would start.
「もし~なら」と訳す場合も「~かどうか」と訳す場合も、文中文の前に置いて接続詞として使用するため、慣れないうちは見分けることができません。
ポイントになるのは接続詞のthatで置き換えて使うことができるかどうか、ということです。
例えば先に出した例の場合、
She asked me if I would come to the party.
She asked me that I would come to the party.
このifの部分をthatに置き換えても文としてはおかしな形になりません。(意味としては「わたしがパーティにいくつもりがあることを尋ねた」という訳のわからないものになりますが)
一般的には文型をとったときにOに当てはまる部分にifが来たら「~かどうか」になるという説明がされていることが多いです。
会話文が命令文だった場合
命令文の場合にはその命令文がどのような形になっているかによって書き換えた後の動詞が変化します。
pleaseのある命令文 → aske ~ to do (~してくださいと頼んだ)
notのある命令文 上のルールに加えて to do の前にnotを付ける
もちろんこれらのルールに加えて話法の基本ルールも適用されます。
My father said to me, “Hurry up." → My father told me to hurry up.
I said to her, “Please show me the picture." → I asked her to show me the picture.
My teacher said to us, “Don’t speak Japanese." → My teacher told us not to speak Japanese.
まとめ
話法は一度ツボにハマってしまうと何を言っているのか全く分からなくなってしまう単元でもあります。
話法の問題が出題されたときに確認すべき箇所をきちんと確認しておきましょう
よくわからなくなったときには、まずは日本語で「 」を付けた場合とない場合でどのように変化するのか考えてみるといいでしょう。
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