Hope for the best, but prepare for the worst.(備えあれば患いなし)
2021年3月3日
Hope for the best, but prepare for the worst.
備えあれば患いなし
悪いことが起こるかもしれないので、あらかじめ準備はしておくべきである。
第一文型:命令文
主語:命令文のためなし
動詞:一文目がhope、二文目がprepare
修飾節:一文目がfor the best、二文目がfor the worst
ことわざの構成とは
ことわざというものは、シンプルかつ固定的で伝統的な、一般的な感覚や経験からすると真実に思えることをまとめたものです。
「何かを隠喩しているもの」(「見つめる鍋は煮えない」・「ペンは剣よりも強し」)と「端的で詩的なもの(「二兎を追う者は一兎をも得ず」・「一石二鳥」など)があります。
今回紹介することわざもそうした私的な作りになっているもののひとつです。
対照的で、リズミカルなことわざ
きちんとした文章が作られているというよりも、詩のように対照的でリズミカルになっています。
butよりも前を前半、butよりも後を後半とした場合、それぞれか次のようになっていることが分かります。
― | 動詞 | for | the | 最上級 |
前半 | Hope | for | the | best |
後半 | prepare | for | the | worst |
for the ~stの部分が音も含めて一緒であるため、非常にリズミカルに文ができています。
このようにリズミカルで音も似ているフレーズというのは非常に覚えやすく、口ずさみやすいものになっています。
hopeとprepareは自動詞か他動詞か
結論から言うのであれば、hopeもprepareも自動詞としても他動詞としても使うことができます。
この文の場合、直接後ろに名詞を取っていないので自動詞として扱っています。
希望、望み、期待
可算名詞
希望を持たせるもの
自動詞
希望を持つ、期待する
「~を望む、~を期待する」のときにはhope for ~
他動詞
後ろにto doをとって「~することを望む、~したいと思う」
that節などをとって「(thatの文であることを)望む、信じる」
思わずI hope the best.
としたくなってしまいますが、実際には
I hope for the best.
が正しいということをこのことわざで覚えることができます。
また後半に使われているprepareに関しても、注意が必要な動詞です。
「~を準備する」と訳すとすべての名詞を目的語としてとることができる気がしますが実際にはそうではありません。
第四文型で目的語を二つとる際には
prepare 「用意する目的や人」・「用意する物」
第三文系にする場合には、
prepare 「用意する物」for「用意する目的や人」
となります。
自動詞
prepare for「用意する目的や人」「~を用意する・準備する」という意味の場合にはそのまま目的語を、
「~に備える」という意味の場合には「for~」を使って「~があるため備える」
と覚えておきましょう。
まとめ
このことわざの伝えようとしてくれていることは人類の普遍の真理です。何かを行うときにはうまくいくことを願いながら行います。しかし都合の良いことばかりを考えて行動をするともしものときに対応ができません。そうした状況に戒めをしているのがこのことわざでしょう。
日本語の「備えあれば患いなし」が、物事に備えることだけを表しているのに対して、"Hope for the best, but prepare for the worst."の場合には「最高を望みなさい」と物事に対してポジティブに考えているのもこのことわざから読み取れる文化の違いのひとつではないでしょうか。
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