A journey of thousand miles begins with a single step.(千里の道も一歩から)
2021年8月22日
A journey of thousand miles begins with a single step.
千里の道も一歩から
第一文型
主部:a journey of thousand miles
動詞:begins
修飾句:with a single step
日本語でもほぼ同じ形式をしているこの格言。実は日本語でも英語でもなく、由来は中国語です。
もともとは中国の春秋戦国時代(紀元前8世紀)ごろに活躍した思想家「老子」の残した言葉から来たとされています。
原文は以下の通り
千里之行 始於足下
thousandとkilometer
漢字を見てわかるように、「千里(約4000キロ)の道のりも、足元から始まる」という意味です。
1里はメートル法に直すのであれば約4キロメートル
そのまま直訳するのであれば、
A journey of four thousand kilometers begins at the footing.
とでもなりそうです。
英語に訳されたときには、中国から来ている里という単位が何キロなのか、ということを訳していません。むしろ、非常に遠い道のりであるということが伝われば良いわけなので、英語として馴染みのあるmile(1マイル=1.6キロ)という単位に訳されています。
1マイルが約1.6キロ、1里が約4キロ、ということを考えると距離が半分以下に縮んでいますが、問題は物理的な距離ではなく、単純にすごく長い距離の旅ということが分かればそれでいいということでしょう。
startとbeginの違い
中学生によく訊かれる質問としてstartとbeginの違いがあります。
startは「動き始める」という「止まっていた状態から動作」をスタートする、という意味、
beginは「これからつづく何かの最初の部分」がそこだった、という意味です。
イメージとして覚えるときは、
50m走はstartですが、
スポーツを始めたばかりの人はbeginner
という例を覚えておくといいでしょう。
旅の場合は止めていた(stop)していたものが動きはじめたわけではなく
これから続く長い旅の最初なのでbeginの方が適切でしょう。
stepとfootingの違い
また、足元という単語はstepやfootingという単語を使います。
「足元注意」という表現で、”Watch your step.”や“Watch your footing.”という表現をします。
踏み出す一歩stepを足元と表現するのか、それとも単純に自分が踏んでいる場所footingを足元と表現するのか、ということについては訳す人それぞれかもしれません。
しかし、stepの場合には、その長い旅に踏み出すという絵が、
footingの場合にはまだ旅の最初の一歩を踏み出していない絵が浮かびます。
老子がどちらを意図してこの詩を残したかはわかりませんが、直前にある「大木も最初は小さな芽である。大きな高台を作ろうと思うと最初は小さな土をかけることから始まる」というフレーズから考えると、小さな一歩目であるstepで訳した方が良さそうです。
まとめ
日本国内で直線距離4000キロの道のりはありません。最北端の択捉島から4000キロ行くと日本から飛び出してしまうからです。
世界と交流するというための言語の学習は、まさに千里の旅です。そんな千里の旅もひとつの単語の使い方という小さな一歩から始めていきましょう!
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