季節を表す英単語の動詞の意味

2020年12月2日

季節の説明

spring [名詞]春、ばね、泉[動詞]跳ねる、急に現れる

植物が地面から飛び出る季節「春」

日本語の「はる」の語源は草木の芽が「張る」ということから来ていると言われています。

英語の場合には跳ねるという意味の「スプリング」と同じ由来です。現在のspringの意味を辞書で引いてみると、「[名]春」、以外にも「[名]バネ」があります。また「[自動]跳ねる、生じる、湧き出る。「[他動]ばねを付ける、飛び立たせる」などもあります。

そうしたさまざまな意味を加味して、単語のイメージをまとめてみると、地面から上に行くというイメージです。

そのためspringにはバネ以外に温泉や泉などの意味もあります。

日本語で言う「萌える」や「生じる」など、土から発生するというイメージがspringの共通するイメージです。そのため地面から草木が生じる季節である春がspringなのでしょう。

日本語も英語もどちらも地面から芽生える季節が春なのです。

summer [名詞]夏[動詞]夏を過ごす

日差しが強く暑い季節「夏」

日本語の「なつ」の語源は「暑い」が転じて「あつ」→「なつ」となったという説や「熱」が転じて「ねつ」→「なつ」となったという説、また同じように「生る」が転じて「なつ」になったという説もあります。

日本語のイメージとしては夏のイメージ通り「暑い」に関連する言葉から来ているのではないでしょうか。

一方英語のsummerに関しては、sum(合計)という言葉とラテン語の太陽を表すmerが組み合わさってできたという考えと、サンスクリット語の夏を表す単語から来たという考えがあります。

前者の太陽に関するものの場合、「完全な光」というニュアンスがあるため、一年を通して最も太陽の強い季節としてsummerが認識されているのでしょう。

辞書を引いてみると夏にも動詞があります。「[自動]夏を過ごす」という用法です。少し古い辞書には「[自動]避暑する」と書いてあることもあります。
日本人が「夏い」という造語の形容詞や「夏を満喫する」と言った場合に、夏らしいもの、例えば暑い日に海に行ったり、花火大会やスイカ、虫取り、夏の甲子園など暑い状況で過ごしたりすることを想像するのに対して、英語の場合には最初から暑さを避けて涼しいところに行っていることにその文化の違いがあるのではないでしょうか。

fall / autumn [名詞]秋[動詞]落ちる、倒れる

落ち葉と紅葉、そして収穫の季節「秋」

日本語の「あき」の語源は「あか」が転じたものだと言われています。秋が持っている赤のイメージはもちろん紅葉です。春が芽生えの季節であったように、秋は紅葉そして落葉の季節です。

英語には秋にあたる単語が二種類あります。fallとautumnです。

fallは動詞にすると「落ちる、倒れる」のイメージがあります。これは春のように植物に由来するものです。

autumnの語源はラテン語のautumtusから、もしくは15世紀か16世紀にフランス語のautomneから派生したと言われています。もともと収穫期を意味する単語でしたが、収穫期という意味と秋という意味の両方として使われました(実際の収穫のタイミングと秋という季節は厳密にイコールではなかったためです)。1300年代には秋を表現する単語としてautumnが英語圏で使われていた記録が残っています。しかし一般的に季節を表す「秋」という意味の単語としてautumnがイギリスで確実な市民権を得たのは18世紀のことだと言われています。

autumunが秋を表す単語として成立した後、詩人などが秋のことを「葉の落ちる(the fall of the leaves)」「今年の落ちる頃(fall of this year)」という表現で表すようになりました。1600年代にはこの表現が秋そのものとして表現されるようになり、それが縮められて「fall」と表現されるようになりました。

1600年代は大英帝国が広がっていた時期でもあります。イギリスが勢力圏をのばした地域のひとつにアメリカ大陸がありました。

そのためアメリカにはfallとautumnの両方の言葉が広がっていきました。

アメリカ英語でfallが適切な用語として扱われてきた一方、イギリス英語ではautumnが流行していたため、fallは季節を表す古風な表現であると考えられました。

しかしこうした考えは変化して行きfallもイギリスでの秋の表記のひとつとして認められるようになりました。

fallとautumnの使い分けをネイティブに訊いてみる

カナダ人はアメリカ人と同じようにfallを使います。オーストラリアの出版物でもfallを見ることができますが、オーストラリアの書き手は遥かにautumnを使うことが多いようです。

アメリカではfallとautumnを無作為に、そして音がしっくりくる方で表現します。

イギリスでfallを使うときは主にアメリカの秋に関して言及する場合です。基本的にはautumnを使います。

この使い分けについてはネイティブの間でも議論があります。
どの国でもfallとautumnの両方で通じるものの、アメリカ英語ではfall、イギリス英語ではautumnが使われるとされています。また格式ばったときにはautumnを使うともされています。

winter [名詞]冬[動詞]冬を過ごす

寒さと厳しさ一年で最も厳しい季節「冬」

日本語の冬の語源にも複数説があります。「冷ゆ(ひゆ)」が転じたという説、そして「振る(ふる)」が転じたという説です。また「震う(ふるう)」から転じたという説もあります。

Wed-はwater,wetと語源をともにしています。そのためwinterというのは「湿った冷たい季節」という意味から来ています。

動詞ではどこかで冬を過ごす、越冬すると意味があります。

まとめ

季節の言葉の語源は日本語も英語も、その季節を連想させる動作や自然などから来ている部分は共通です。

そして日本語は全て季節を表す名詞としてしか使われないのに対して、英語には動詞としての意味があります(autumnにはないですが)。

地面から出るという意味のspring、その反対の地面に落ちるという意味のfall、

夏を過ごすという意味のsummer、冬を越えるという意味のwinter、

一見名詞でしかないと思える単語にも意外な動詞の用法があるのも辞書を引いていて面白いと思える瞬間ではないでしょうか。

※ 言葉の語源には諸説さまざまあります。



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