冠詞(不定冠詞のa/an、定冠詞のthe)
ここでは英語の冠詞(articles)について説明していきます。
a/anやtheをどのようなときに使うのかということを例文を含めて説明していきます。
不可算名詞のa/an
a/anは単数形の可算名詞に付けることができます。
aとanの違い
aは直後に来る単語の音によって、anになります。
直後に母音a,e,i,o,uと発音しないhが来たときにaはanに変わります。
an apple an island an uncle an egg an onion an hour
母音ではない語が後ろに来ているのにanを使うとき
その他の文字が来たときでも、その文字の読み方次第ではanを使うことがあります。
その単語をフォニックス読みするのではなく直接アルファベット読みしたときです。
an SOS an ’X’
(「サス」ではなく「エス・オー・エス」、「ックス」ではなく「エックス」と発音するときの冠詞)
a/anを使用するのはどういうときか
a/anは一般的なものを説明するときに使います。会話の流れの中で、お互いのイメージが同じものにならない場合やその名詞全体を指すときに使います。
お互いのイメージが完全に一致するときにはtheを使います。
特定ではなく文脈で初登場した名詞に対して
a/anというのは単数形の数えられる名詞で、かつこの世に二つ以上あるものに対して使います。
使われる名詞は、特定のものではなく、文脈の中で初めて登場したときに使われます。
I need a knife.
They went to a museum.
He bought an ice-cream.
ある特定の名詞全体に対して使うとき
A car must be insured.
= All cars must be insured.
= Any car must be insured.
(車は保険をかけておかなければならない。
=全ての車は保険をかけておかなければならない。
=どんな車であっても保険をかけておかなければならない)
ここで言う、「車」というのは「自動車」というジャンルの全てのものを表していて、特定のある一台の車のみを指しているわけではありません。
名詞的な補語として、また専門用語を説明するときに
It was an earthquake.
(それは地震でした)
She’ll be an actress.
(彼女は女優になるでしょう)
上の文は、その前の文で起こったことを説明し、その次の文としてそれが何だったのかということを説明しています。
下の文の女優は、会話に出てきた特定の女優というものを指しているのではなく、食事行としての女優を指しています。
単位を表現する成句の表現として
a lot of, a couple, a great many, a dozen
特定の数字を表現するときに
特定の数字はaを付けます。
a hundred, a thousand
・halfにつけるaの使い方
1½ kilosは次のように表現します:
one and half kilos (kiloが複数なのは1ではないため)
もしくは a kilo and a half
½㎏はhalf a kiloと表現します。1キログラムという単位の半分なのでキロは単数です。a half kiloではありません。half(半分)a kilo(1キロという単位の)と表現します。
後ろが単位ではない単語の場合、halfと名詞をひとつの単語にして、その前にaを付けることもあります。
a half-holiday (半休一日分)
¼ や ⅓ の場合には、aが使われます。こうした場合にはoneは使えません。
〇 a third, a quarter
× one third, one quarter
価格や、速さ、割合の単位を作り出すとき
$1 a meter (1メートルあたり1ドル) sixty kilometer an hour (1時間で60キロ)
ここでのa/anはperに置き換えることができます。
sixty kilometer an hour = sixty kilometer per hour
感嘆文を作るとき
感嘆文を作るときにもa/anは使われます。
What a pretty girl!
(なんてかわいい女の子だ!)
Such a long queue!
(そんな長い列を!)
しかし、感嘆する対象が単数のときに限ります後ろが複数のときには使用しません。
What pretty girls!
(なんてかわいい女の子たちだ!)
名字の前に付けて知らない人物であることを表現するとき
姓の前にaを付けると、日本語で表現する「~っていう人」の意味になります。
a Mr. Smith (スミスさんっていう人)
こうした表現をしたときには、このMr. Smithという人物が自分にとって知らない人であることを遠回しに表現しています。aが付いていないMr. Smith単体のときには、話し手はその人を知っているか、もしくはその人のことは詳しく知らないが存在は知っていることになります。
不定冠詞のaが使えないときはどういうときか
複数形にa/anは使わない
その名詞が複数形であるとき、もしくはそもそも不可算名詞であるときにはa/anは使いません。
dog には a dog とaを付けるが、dogsには付けない。
appleには an apple と付けるが、applesには付けない。
meal, breakfast, lunchなどの食事に対するa/anのルール
特別ルールとして食事の種類、breakfast, dinnerなどには使いません。
しかし、食事であっても形容詞を伴っているときや特別な食事であるときには使用することもあります。
We have dinner at eight every day.
(わたしたちは毎日八時に夕食を食べる)
She gave us a special dinner.
(彼女はわたしたちに特別な夕食をふるまってくれた)
a/anとoneの違い
a/anとoneの使い分けについては下記のコラム記事「a/anとoneの違い」を参考にしてください。
a little/a fewとlittle/fewの違い
a little/a fewの使い分けについては別のコラム記事「a little/a fewの違い」を参考にしてください。
定冠詞のthe
定冠詞のtheは単数でも複数でも使うことができます。
定冠詞を使うときはどういうときか
theはお互いがこれだと特定できるものに使います。そもそもひとつしかないものやお互いが会話上特定できるものに使います。
その言葉、もしくはその言葉のかたまりが、この世に唯一のものだと考えられるとき
the sea(海), the sky(空), the equator(赤道)など
文脈の中で特定され二回目以降に使われるとき
I bought a book. I will show you the picture on the book.
後ろに続く言葉で特定されるとき
the men in black (黒服の男たち)
the dog I saw (わたしが見た犬)
明らかに唯一のものだと特定できるときやお互いに分かっている馴染みのものであるとき
Please pass me the salt. [塩はお互いひとつしか見えていない]
最上級や序数などを伴うとき、またonlyを伴うとき
最上級の場合には「一番~」なものとなるため、その言葉が示しているものがひとつになるためtheを付けます。また序数の場合やonly「唯一の~」もひとつに特定できるためtheを使用します。
the first year, the greatest show, the only way
theを含めた特別ルール
あるものの属性を表現するときはtheを付ける
The whale is in danger of becoming extinct.
(そのクジラは絶滅の危機に瀕している)
「the + 形容詞」で、「~な人」を表す
the poor (貧しい人)、 the young (若い人)
海や川、諸島や山脈、国のかたまりなどに使う
the Alps (アルプス山脈)、the Sahara (サハラ砂漠)
特定の名詞のかたまり(「名詞 of 名詞」「形容詞 名詞」)につける
the United States of America (アメリカ合衆国)
the Arabian Sea (アラビア海)
一般的に「方角 名詞」にはtheは付けないが、特定のものには付けることも
付けない例 South America (南アメリカ)
付ける例 the North pole (北極)
コーラスグループやバンド、オーケストラなどのグループや新聞、船などにもつける
the Bach choir (バッハコーラス)
the Philadelphia orchestra (フィラデルフィアオーケストラ)
the Beatles(ビートルズ)
the Flying Dutchman(フライングダッチマン号)
原則人名などには付けないが、特別な場合には姓にもtheを付けることがある。
・複数形にtheを付けて一家全員を表現したいとき
the Smiths (スミス一家)
・同じ姓の人がいて、区別をしたいとき
I know two Mr. Smiths. One of both is my English teacher.
(わたしは二人スミスさんを知っています。一人は英語の先生です)
位や身分、属性などに付けるthe
位や身分、属性が単独で書いてあるときにはtheを付ける。
the Duke of York (ヨーク公)
the captain (船長)
位などの直後に固有名詞が来ているときには、「身分+固有名詞」でひとつの固有名詞と考えるため、theは付けない。
Captain Cook (クック船長)
定冠詞theが使えないパターン
上記で説明した特別なパターンを除いて人名や地名などにはtheは付けない。
Tom, Japan, Tokyo
抽象名詞にはtheは付けない
Her word gave me hope.
しかし単独の抽象名詞ではなくある特定のものを表現したいときにはtheを付ける。
The hope I had was that I could see you again.
所有格が付いているとき
my father
ただし所有格になっている名詞にtheが必要な時は例外としてtheを使用することもある。
the boy’s father
食事の名前、breakfast, lunch, dinner, mealなどには付けない
不定冠詞a/theの「meal, breakfast, lunchなどの食事に対するa/anのルール」を参考にしてください。
競技の名前にはtheは付けない。
golf, baseball, chessなど
I play baseball.
(わたしは野球をします)
体のパーツや服の部位には原則theは付けない。
ただし特に強調したい場合や受動態などの場合は所有格を付けずにtheを付けることもある。
this/ these, that/thoseが使われているとき
this/ these, that/thoseは指示語もしくは代名詞として使います。そのためaやtheは使いません。
This book is mine.
(この本はわたしのです)
Those are my friends.
(あの人たちはわたしの友達です)
this/ these, that/thoseの使い方に関してはこちらの「this/ these, that/thoseの使い方」を参考にしてください。
注意
多くのヨーロッパの言語では、不定の複数名詞に対してtheを付けるという習慣があるが、英語ではそうした慣習はありません。
theを付けるか付けないかで意味が変わる単語
man:
man 人類
the man 男の人
nature:
nature 大自然(動物や植物を生み出し育てた存在)
the nature 自然(人工ではないもの)
home:
home 家に/へ 動詞の直後にあるときは副詞として扱う
the home (特定の)家庭、家
することが決まっている場所
bed, church, court, hospital, prison, school, college, university など
冠詞なし もともとの目的として来た
冠詞あり 別の目的で来た
I went to church yesterday.
(わたしは昨日教会に「祈りをささげに」来た)
I went to the church to see the statue.
(わたしは教会にその像を見に来た)
本来の用途としては次のようなものが考えられます。
bed:休む、もしくは寝るために
church:祈りをささげに
court:裁判をするために
hospital:患者として
prison:囚人として
school, college, university:勉強するために
sea:
be at sea 航海中
be at the sea 海沿いにいる
work:
work 職場
the work 仕事、作業
ただし、at workという表現の場合は「仕事、作業」という意味になることも
I am on the way to work.
(わたしは通勤途中です)
I am at work.
(わたしは仕事中です)
office:
be in office 公的な身分にある
be in the office 職場にいる
town:
town (話し手の)ホームタウン
the town 町
冠詞のまとめ
a/theの使い分けは英語の読み書きをするうえでずっと悩み続ける課題でもあります。
aは一般的なものを示すときに
theは自分から見ても相手目線から見ても同じものを示すときに付けると覚えておきましょう。
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