The older I grow the more I distrust the familiar doctrine that the age brings wisdom. Henry Louis Mencken
2021年3月3日
The older I grow the more I distrust the familiar doctrine that the age brings wisdom.
Henry Louis Mencken
わたしは歳をとるにつれて、年齢を重ねると知恵が付くというおなじみの教えを信じられなくなってきている。
ヘンリー・ルイス・メンケン
第三文型
主語:I
動詞:distrust
目的語:the familiar doctrine
目的語の修飾節:that the age brings wisdom
修飾節:the older I grow
ヘンリー・ルイス・メンケンはアメリカのジャーナリストです。1880年にアメリカのメリーランド州ボルチモアで生まれ、1956年に同じくボルチモアで亡くなっています。
彼がボルチモアで長年住んでいた自宅は現在ではメンケンのHLメンケンハウスとして市立博物館になっています。また彼の書いた多くの文章はアメリカの多くの図書館で読むことができます。
the 比較級 ~, the 比較級 … という構文
英語にはさまざまな構文があります。構文というのは、通常の第一~第五文型の形とは少し異なった、文の形です。
日本の学校で最初に習う文型としては、「there be動詞~」の構文があります。これは通常の文の形とは異なり、~の部分を「~がある/いる」と訳すものです。このようにある程度形と訳が決まっているもののことを構文と言います。
「the 比較級 ~, the 比較級 …」という構文は「比例」を表します。「~すればするほど…する」という意味です。今回の文の場合、前の部分を訳しやすい形に直すと、
I grow older.
わたしが歳をとっていく。
となります。
また後ろの部分を訳しやすい形に直すと、
I distrust the familiar doctrine that the age brings wisdom more.
年齢が知恵を運んでくるという馴染みのある教義がより信じられなくなる。
となります。
thatはdoctrineを説明する同格のthatです。
名詞を修飾する節のことは一般的には関係代名詞を用います。関係代名詞についてはこちらの記事で触れています。
またdistrustという単語は、trust(信じる)という単語に反対の意味を表す接頭辞dis-が付いています。dis-という接頭辞についてはこちらの記事で簡単に触れています。
構文を使わずに書き換えてみる~比例のas~
この二文を比例の関係にするために接続詞asを使うと以下のような文になります。
As I grow older, I distrust the familiar doctrine that the age brings wisdom more.
わたしは歳をとるにつれて、年齢が知恵を運んでくるという馴染みのある教義がより信じられなくなる。
接続詞や前置詞として使えるasには実は幅広い意味や使い方があります。比例の意味もそのうちのひとつです。
これを機会に、一度辞書でasを引いてみて下さい。
驚くべきことに、辞書の見開き2ページほどをasという項目だけで占めています。今まで知っていたよりもはるかに多くの意味や使用方法があることに気づくはずです。
これをより比例であることを強調した形が、
The older I grow the more I distrust the familiar doctrine that the age brings wisdom.
というthe 比較級 ~, the 比較級 … という構文を利用した形なのです。
賢いという意味の単語の違い「wise / clever / smart / intelligent / bright」
賢いという単語は複数ありますが、それぞれ賢さのイメージの違いがあります。
知識や経験が多く、賢明であること。「聡明である」
clever / smart
知識などに関係なく、その物事を解決するにあたって適切な答えを出す能力があること。時にずる賢くまっとうではない手段を思いつくことも含む。「地頭が良い」
Intelligent
知能が高く、理解力があること。知識が多いという意味ではない。「学がある」
bright
(子どもや若者に対して)利口である、頭の回転が良い。年長者が年少者に対して使う。「利口な」
スポーツなどで頭のいいプレイヤーなどというときにはclever / smartなどを使います。一方、歳をとっていてさまざまな知恵と知識を持っている人に対してはwiseを使います。こうした日本語にしたときに大きなカテゴリーで考えたときに同じものに感じられる単語は、周辺の単語とのコロケーションや別の意味で覚えておくようにすると良いでしょう。
まとめ
一般的には「知恵袋」など、年齢を経た人というのはそれだけ「物を知っていて、知識も豊富である」と考えるものです。しかし、自分がいざ歳を経てみると、想像していたほどの知識が得られていないこともあります。
物事の多くは実際にその状況になってみないと分からないことがほとんどです。より知識のある人が何を考えているのかは、実際にそれに比類するほどの知識を持たなければ理解することはできません。また外国語を話してみなければ、その言葉の語感や言葉の持つ力というものを理解するのは難しいのです。
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